千葉県がんセンター
私たちは一人でも多くの千葉県民に質の高いがん治療を提供します。

整形外科

1)診療内容と方針

 当科では、初診時より、分かっている範囲までですができるだけ病名および病態を説明し、患者さん中心の道徳的概念に立ったインフォームド・コンセントを行っています。入院後には入院診療計画書にそれまでにわかったこと、これから行われる検査の意義および必要性について患者さんの了解を得るようにしています。その際、今後の治療予定、治療期間についても説明いたします。

 手術が必要と判断される患者さんへは、手術の目的、手術により奪われる機能、および機能再建方法に加え、合併症の可能性、その合併症をできるだけ回避する方法について説明をしております。手術方法も選択肢のあるものについてはできる限り説明を行った上で、患者さんに選択していただくようにしております。手術は全身麻酔を基本にしています。行われている手術の主なものは、腫瘍広範切除と骨欠損に対しては腫瘍用人工関節置換術、皮膚および筋肉欠損には筋皮弁(昭和大学形成外科の協力による)です。

 抗がん剤治療が必要と判断される患者さんへは、抗がん剤治療の必要性、治療期間、治療効果の予測、抗がん剤治療を受けることによる患者さんの被害(副作用)の実際を説明した上で、抗がん剤治療を受けるか、否か、および受けるとすれば入院あるいは外来で受けるか、患者さん自身に自己決定していただくようにしております。抗がん剤のプロトコールは多施設共同研究として、骨肉腫、ユーイング肉腫、軟部肉腫に対して行っています。その他については腫瘍血液内科にコンサルトしています。

 放射線治療が必要と判断される患者さんへは、放射線治療の作用・副作用について説明し、放射線治療を受けるか、否か、および受けるとすれば入院あるいは外来で受けるか、患者さん自身に自己決定していただくようにしております。骨転移癌にたいしては、疼痛緩和を目的にして通常の放射線治療がおこなわれます。大きな腫瘍では、手術前、あるいは手術後に放射線治療を併用することもあります。
 手術不適応の患者さんには、腫瘍根治性を高めるため当センターでは3次元放射線治療(Xナイフ)を依頼しています。症例によっては放射線医学総合研究所 重粒子医科学センター病院に重イオン治療を依頼することもあります。

 以上のように、患者さんの病気および病気の進行状況を把握した上で、個々の患者さんに適した治療手段を提示し、患者さん自身に自分が受ける治療法を選択していただいております。 説明を受けた患者さんが、自己決定するには1回の説明では不十分なことが多く、途中で患者さんに質問をし、患者さんの理解を確認しつつ説明をするようにしております。説明後、説明用紙を患者さんに渡し、説明内容を反復してみられるようにし、不明な点はいつでも質問していただけるように話し、必要があれば何回でも説明を繰り返すようにしております。自分は素人だから医師に決めて欲しいとの申し出があった際は、説明不足と考え、自己決定できない理由を確かめつつ、説明を追加するようにしております。

 医療を受ける患者さんの自己決定権を尊重し、患者さんが受ける医療を自分自身で選択できるような医療環境を整備し、患者さんが選択した医療を私たち医療従事者が遂行することが、患者さんのQOLを維持することを可能にする最善の手段と考えております。

《当科の特徴》

 特徴のひとつは入院患者さんの約1/3が骨肉腫を代表とする小児がんの患児であることです。小児といえども、小学生であればその子にわかる言葉で説明すれば理解は可能です。
 治療期間が1年近くになることもあり、説明を受けた患児が治療をスムーズに受け入れられるためには、病院内の環境を自宅にできるだけ近づける必要があります。入院中でも教育を受ける権利も義務もあるため、小・中・高生には隣接する仁戸名特別支援学校に転校し、訪問教育(あしたば教室)を主体とした教育の継続を行っています。通常の学校では、勉強ばかりでなく遠足や郊外学習もあるので、病院でも紙飛行機大会、ディズニーランド見学、夏祭り、クリスマス会なども行っています。
 治療は副作用の強い抗がん剤治療と身体障害者手帳を持つことになる手術となります。手術方法にはいくつかの選択肢があり、手術方法により身体障害の状態が異なるため、それらの利点・欠点を患児に説明し、患児自身に術式を選択していただいております。小学生であれば十分選択可能です。

写真

 治療で入院中の学習継続は重要です。
 特別支援学校の授業の一環で、たこ焼き集会を開いている風景です。整形外科病棟の食堂で、行ないました。

《平成20年度の初発治療の入院患者数》

原発性骨悪性腫瘍 20例
原発性軟部悪性腫瘍 40例
転移性骨腫瘍 55例
骨良性腫瘍 16例
軟部良性腫瘍 17例
その他の悪性腫瘍(悪性リンパ腫、皮膚がんなど) 15例
腫瘍類似疾患 31例
合計 200例

《紹介受診後の流れ》

良性・悪性の鑑別~治療開始までの流れを説明

紹介状、診察、前医画像(X-P、CT、MRIなど)により、良性・悪性の鑑別をする。

良性の場合:患者さんと相談、基本的には経過観察、紹介元医療機関へ

悪性の場合:確定診断をつける、とう痛などの症状緩和の実施
外来でさらに検査する場合(核医学検査、MRI、血液検査)もあり、入院が決定すると治療計画、生検等を行い治療開始となります。

2)主な対象疾患と治療法

 骨・軟部の悪性腫瘍全般に対象としております。原発性骨悪性腫瘍では、成長期に好発する骨肉腫やユーイング肉腫、成人に好発する軟骨肉腫、悪性繊維性組織球腫などです。良性骨腫瘍では、骨のう腫や巨細胞腫、内軟骨腫があります。悪性軟部腫瘍には成人に好発する脂肪肉腫、滑膜肉腫、神経肉腫、平滑筋肉腫があります。滑膜肉腫は若年者に好発、また横紋筋肉腫は小児に好発します。良性の軟部腫瘍では成人に多い脂肪腫、神経鞘腫や小児に多い血管腫などがあります。良性でも部位や大きさにより治療の対象となりますので、多岐に渡っています。

《骨肉腫・ユーイング肉腫・軟部肉腫》

<診断>

 骨肉腫、ユーイング肉腫疑いの患者さんは原則的に初診日に入院し、迅速な診断治療をめざします。

<治療>

 骨肉腫・ユーイング肉腫・軟部腫瘍に関して多施設共同研究を行っております。抗がん剤治療の際には患者さんの点滴の苦痛が少しでも軽減するよう、ヒックマンカテーテルや皮下埋め込み式IVHを挿入しております。骨肉腫と滑膜肉腫に対するペプチドワクチンの治験にも参加しております。また、軟部肉腫に対する分子標的治療の治験にも参加しています。
 手術が必要な患者さんへは、小児でも治療により失われる機能及び再建方法についてインフォームドコンセントを行い、患者さんの意志を尊重し、できる限り積極的な治療を行うことを基本としております。

《転移性骨腫瘍》

 整形外科では原発巣の診断がついていず、悪性の骨腫瘍疑いで紹介される患者さんが多いのですが、CT下骨針生検を積極的に用いて、できる限り早く診断を確定し、当該科と協力の上、治療にあたります。

《小児がんサポート》

 骨肉腫を代表とする小児がんの患児が多く入院して来られます。治療の必要性を理解できるよう積極的に関わり、長期的な全人的サポートを心がけております。
 また、仁戸名特別支援学校の協力を得て、訪問教育を受けられるよう環境を整えております。

主な治療のご案内

治療項目 入院/外来 治療を要する期間 ご案内
骨肉腫 入院/外来 約1年間 治療は主に化学療法と手術となります。
術前化学療法約3ヶ月→手術→6~9ヶ月間化学療法という長期の治療となります。術後の化学療法は治療時のみ入院も可能となっております。 手術法は切断・人工関節・回転形成術・関節固定とありますが、患者家族へ利点欠点を十分に説明して選択して頂いております。
ユーイング肉腫 入院/外来 約1年間 治療は主に化学療法・手術・放射線治療となります。術前化学療法4ヶ月→手術約10ヶ月間術後化学療法となります。また、手術標本の結果により放射線治療を行なっております。
骨肉腫同様長期治療となる為、患者家族への説明を十分に行なうよう心がけております。
軟部肉腫 入院/外来 1ヶ月
(化学療法を行う場合は6ヶ月程度)
様々な組織型の腫瘍が含まれますが、治療法の原則は外科的切除です。補助療法として放射線治療を行う場合もあります。患者さん・ご家族に十分説明し、選択して頂いております。

平成21年度の疾患別 入院患者数(初発治療患者のみ)

原発性骨悪性腫瘍 20例
原発性軟部悪性腫瘍 42例
転移性骨腫瘍 40例
骨良性腫瘍 13例
軟部良性腫瘍 26例
その他の悪性腫瘍(悪性リンパ腫、皮膚がんなど) 20例

3)構成メンバー

部長 米本 司

S62年 千葉大学医学部卒
専門は骨・軟部腫瘍

  • 日本整形外科学会 専門医
  • 日本臨床腫瘍学会 暫定指導医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

医長 岩田 慎太郎

H9年 筑波大学医学部卒
専門は骨・軟部腫瘍

  • 日本整形外科学科 専門医
  • 日本整形外科学科 脊椎脊髄病医

医療局長 舘崎 愼一郎

S46年 千葉大学医学部卒
専門は骨・軟部腫瘍

  • 日本整形外科学会 専門医

診療部長 石井 猛

S56年 千葉大学医学部卒
専門は骨・軟部腫瘍

  • 千葉大学整形外科臨床准教授
  • Journal of Orthopedic Science Editorial Board
  • 日本整形外科学会 専門医

4)外来診療担当表

 新患外来は毎日開いておりますので、予約をとって頂くほうが、効果的な診療が出来ます。なお、緊急を要する患者さんでは連絡(直接電話)をいただければ、迅速に対処いたします。できる限り初診日に治療方針が決定できる様に努力しております。

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