千葉県がんセンター
私たちは一人でも多くの千葉県民に質の高いがん治療を提供します。

脳神経外科

1)診療内容と治療法

 当科では、悪性脳腫瘍の治療を中心に、脊髄から眼窩内に至る広範囲な領域の腫瘍の治療にあたっております。脳は、言うまでもなく全ての機能の中枢にあたります。その中に発生した腫瘍を治療する者として、患者様の人格を守ることを最優先した治療とその開発を行っています。
 また、がん専門病院の脳神経外科として、各診療科のエキスパート達と協力して治療にあたっています。

低侵襲手術

術後機能損失を防ぐ目的で、術前に機能的 MRI・トラクトグラフィー(拡散強調 MRI から神経伝達路を描出)を行い、神経機能と腫瘍との相互位置関係を3次元的に評価し手術アプローチを決定しています。手術では、これらの情報をナビゲーションシステムに導入、さらに手術用顕微鏡と統合することで、摘出標的・危険構造物の位置を確認しながら摘出を行い、必要に応じて MEP mapping を併用しています。言語中枢近傍腫瘍においては、覚醒下手術を導入し、患者さんの言語機能の温存に努めています。これらの手法を用いることにより、多くの症例で神経機能の温存が可能です。手術手技の進歩により、神経膠腫(グリオーマ)・転移性脳腫瘍に関わらず、ほぼ全例で造影病変の全摘出が可能ですが、神経機能の温存を優先した手術をご提案しています。さらに、腫瘍より遙かに小さな開頭で病変を摘出する鍵穴手術法を開発。低侵襲で安全な手術を提供しています。20~30mm程度の腫瘍であれば1時間程度の手術で全摘出可能で、3~4日程度の入院期間でも治療可能です。
脳室内腫瘍については神経内視鏡の導入し、更に低侵襲の手術を提供しています。

放射線治療

通常照射に加えて、定位的放射線治療・3次元原体照射・IMRT と、直線加速器を用いたあらゆる照射法が施行可能です。神経膠芽腫に対する IMRT、転移性脳腫瘍に対する SRS/SRT と、患者様に最も適した照射法を放射線治療医との合同カンファレンスで検討し選択しています。特に神経膠芽腫(グリオブラストーマ)に対する IMRT は、高い局所制御率を示しており、海外からも高く評価されています。

化学療法

神経膠腫(グリオーマ)に対する化学療法は、遺伝子検査を行い、その感受性を予測しながら行っています。また、悪性リンパ腫に対する大量化学療法は薬物血中濃度を監視し安全を確認しながら施行しています。
さらに新しい試みとして、胚細胞腫瘍に対する自己末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法を行っています。これは特に若年者に対する放射線治療を回避し脳の成長を守ろうという試みで、腫瘍血液内科と協力して施行しています。
転移性脳腫瘍に対しても遺伝子検査に基づき、その感受性の結果から化学療法を先行し放射線治療を回避する試みを開始しています。

治療成績

悪性脳腫瘍は、手術だけでは治癒しません。当科では、手術・放射線治療・化学療法全ての領域において最高レベルの医療を提供し、悪性脳腫瘍の克服を目指しています。その結果、神経膠腫(グリオーマ)で最も悪性の神経膠芽腫(グリオブラストーマ)の生存期間中央値は約30ヶ月と、全国脳腫瘍統計の約10ヶ月の3倍にまで延長しています。
化学療法の進歩によりあらゆるがん患者様の生存期間は延長しております。特にがん専門病院の当センターでは脳転移を来した後の長期生存例が多いのも特徴です。個々の患者様において、その全身状態を評価しながら、手術とガンマナイフの治療選択を行った結果、長期生存例でも脳転移が死因となる症例は殆ど無くなっています。

≪主な治療のご案内≫

治療項目 入院/外来 治療に要する日数 ご案内
IMRT 入院/外来 10日 コンピューターを用いて、放射線の形状を変化させながら、腫瘍に放射線を集中させる新しい放射線治療です。全国に先駆けて神経膠芽腫(グリオブラストーマ)に治療応用し、その優れた効果は海外からも高く評価されています。
開頭腫瘍摘出術
(鍵穴手術)
入院 2~10日 ナビゲーションシステムと手術顕微鏡を統合し、腫瘍の位置を開頭前から確認することにより、数cm程度の鍵穴の様に小さな開頭から腫瘍を全摘出します。術創は5~6cm程度で、剃髪も殆ど必要なく、術後早期に社会復帰できます。
化学療法 入院/外来   化学療法は、手術で摘出した病理組織を元に遺伝子的検索に基づいた治療法の選択を行っています。髄膜播腫巣に対しては、オンマイヤーリザーバーを留置したうえで、髄注化学療法を積極的に行っています。

≪昨年度の主な治療件数(2010年度)≫

開頭腫瘍摘出術 件数
神経膠腫(グリオーマ) 48例
転移性脳腫瘍 43例
その他(髄膜腫など) 11件
総手術件数 149件

2)構成メンバー

部長
井内 俊彦(いうち としひこ)

S63年 岡山大学医学部卒

  • 日本脳神経外科学会 認定医:評議員
  • 神経内視鏡技術認定医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • ニューロオンコロジイの会 世話人
  • 東京脳腫瘍治療研究会 世話人

医長
堺田 司(さかいだ つかさ)

H6年 浜松医科大学医学部卒

  • 日本脳神経外科学会 認定医:評議員

医長
川﨑 宏一郎(かわさき こういちろう)

H9年 昭和大学医学部卒
専門は脳神経科一般

  • 日本脳神経外科学会 認定医:評議員

医長
長谷川 祐三(はせがわ ゆうぞう)

H13年 千葉大学医学部卒

  • 日本脳神経外科学会 認定医:評議員
  • 日本脳卒中学会 専門医
  • 日本神経内視鏡学会 技術認定医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

3)外来診療担当表

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