婦人科
1)診療内容と方針
当科では、どの治療の患者様に対しても、可能な限り低浸襲治療を行い、機能温存に努めております。
子宮頸がん
骨盤内臓神経を温存し、術後合併症予防に努めております。また手術のみならず、放射線療法・化学療法など病状に応じて最新の治療を選択し、ご提供しております。
卵巣がん
最大限の腫瘍減量手術を行い、腸管合併切除を含む他臓器合併切除も積極的に行っております。
術後治療
化学療法・放射線治療共に外来または病棟で行う事ができ、患者さんの状況や希望に合わせた治療の選択が可能となっております。化学療法は可能な限り外来で行ないますが、入院の患者さんに対してはクリニカルパスを用いており、入院日数の短縮化を図っております。
レディースフロア
入院環境は女性のみの病棟となり、患者さんが快適に治療に専念できるよう、スタッフ一同穏やかな環境づくりを心がけております。
2)主な対象疾患と治療法
《当科における子宮頸癌に対する治療の説明》
基本的には子宮頸がんガイドライン(2007年度版)に準じて診療を行っております。
子宮温存を希望する0期および
a1期子宮頸がん症例に対してはLEEP円錐切除術を施行しています。
a2期-
b期症例に対しては手術可能例に対しては広汎子宮全摘出術(骨盤神経温存)を施行し、術後病理組織検査にて骨盤リンパ節転移陽性例、傍子宮組織浸潤陽性例に対しては、基本的にはCDDP同時併用放射線治療を追加治療として行っております。
b2-
b期症例のうち、腫瘍径の大きな症例(腫瘍最大径4cm以上)、および
期症例に対しては放射線治療単独またはCDDP同時併用放射線治療を施行しております。さらに
期症例のうち腫瘍径の大きく、従来の放射線治療では局所制御が困難と思われる症例及び
Va期症例については、同意が得られれば重粒子線治療を施行しております。また、
Vb期症例に対しては、全身抗がん剤治療(CDDP/CPT-11, MEP, TC)あるいはCDDP同時併用放射線治療の後前出の全身抗がん剤治療を行っております。また、再発例については、放射線治療の既往のない、局所再発の場合は放射線治療を、放射線治療の既往がある、一部の局所再発例に対しては救済手術(子宮全摘出術)を、遠隔再発例に対しては前述の全身抗がん剤治療を行っております。
略語一覧:CDDP:シスプラチン
CDDP/CPT:11::シスプラチン・塩酸イリノテカン
MEP: マイトマイシンC・エトポシド・シスプラチン
TC:パクリタキセル・カルボプラチン
《当科における子宮体癌に対する治療の説明》
当科では原則として子宮体がん治療ガイドライン(2006年度版)に準じ治療を行っております。
子宮温存を希望する、若年性子宮体がん症例(Ia期、高分化型)では子宮内膜全面掻爬術施行後、高用量酢酸メドロキシプロゲステロン内服治療を6ヶ月間施行する人妖よう性温存治療を行う場合があります。その他の場合、子宮体がん症例では、診断確定後開腹手術(準広汎子宮全摘術、両側附属器切除、後腹膜リンパ節郭清術を行います。完全手術例に対しては、術後病理組織学的診断確定後、治療ガイドラインに記載されている、再発高リスク群、及び中等度リスク群の2項目以上を満たす症例に対しては術後補助療法として抗がん剤治療(TC, DC, IAP治療)を施行しております。また、中等度リスク群の1項目のみ満たす症例および低リスク群では、追加治療は行わず経過観察としております。また、不完全手術症例、遠隔転移症例に対しては前述の全身抗がん剤治療を施行しております。また、高度の合併症を有する症例、手術拒否例にたいしては放射線治療、重粒子線治療を行っております。
略語一覧:TC:パクリタキセル・カルボプラチン
DC:ドセタキセル・カルボプラチン
IAP:イフォマイド・テラルビシン・シスプラチン
《当科における上皮性卵巣癌および悪性卵巣胚細胞腫瘍に対する治療の説明》
2004年以降と当科で初回治療(主に手術治療)を受けられる患者さんが急増しています。現在当科では、基本的に卵巣がん治療ガイドライン(2007年度版)に準じて治療を行っておりますが、具体的には当科にて作成した卵巣がん治療フローチャートに沿って治療をすすめています。
上皮性卵巣がんにおける初回手術の果たす役割は大きく、初回手術においては、卵巣がんの確定診断(迅速病理組織診断による)、正確な臨床進行期の決定がなされ、最大限の腫瘍減量手術が遂行される必要があります。一般的に上皮性卵巣癌に対する初回標準手術としては、単純子宮全摘術、両側附属器切除術、大網部分切除術、後腹膜リンパ節(傍大動脈・骨盤リンパ節)試験切除術が施行されます。正確な臨床進行期を把握することは、術後追加化学療法の必要性の有無を決定する上で重要であります。また、卵巣がんにおいては手術終了時における残存腫瘍径が予後に反映されることより、最大限の腫瘍減量手術が要求されます。我々は進行卵巣がんに対して腹腔内病変の最大減量を目指して腸管合併切除を含む積極的な拡大手術を施行し、肉眼的に腹腔内に腫瘍の残存のない症例に関して良好な治療成績を残しております。卵巣がんに対する第一選択の化学療法としては、パクリタキセルあるいはドセタキセル・カルボプラチンの併用化学療法を施行しており、第二選択としては、カンプトテシンを含む薬剤の併用(CPT-11/シスプラチン、CPT-11/マイトマイシンC)、第三選択または薬剤抵抗性卵巣がんに対してはドキソルビシン塩酸塩リボゾーム注射剤(ドキシルR)を用いております。
一方、卵巣胚細胞腫瘍は、若年者に多いため、初回手術の基本は妊よう性の維持を目的とした、子宮卵巣温存手術であります。すなわち、卵巣胚細胞腫瘍は一般的に抗がん剤感受性が高いため、たとえ進行癌であっても内性器全摘術は施行せず、一側の附属器切除にとどめ、術後の抗癌剤治療に委ねることが多いのが特徴です。抗がん剤治療の第一選択はBEP治療(ブレオマイシン/エトポシド/シスプラチン)であり、その腫瘍縮小効果は90%前後といわれています。第二選択薬には特に効果の認められた多剤併用治療はありません。
抗がん剤略号一覧:
TC:パクリタキセル・カルボプラチン
DC:ドセタキセル・カルボプラチン
CDDP/CPT-11: シスプラチン・塩酸イリノテカン
CPT-11/MMC: 塩酸イリノテカン・マイトマインC
PLD: ドキソルビシン塩酸塩リボゾーム注射剤(ドキシルR)
BEP: ブレオマイシン/エトポシド/シスプラチン
当科で施行している機能温存治療
子宮頸がん
- 子宮頚部初期病変(高度異型上皮・上皮内癌・微小浸潤癌)に対する子宮頚部LEEP円錐切除術
- 局所限局型子宮頚部浸潤癌に対する片側または両側骨盤内臓神経温存広汎子宮全摘出術
子宮体がん
- 複雑型子宮内膜異型増殖症(0期体癌)、高分化型子宮内膜癌臨床進行
a期(挙児希望例)に対する内性器温存・酢酸メドロキシプロゲステロン内服療法
卵巣癌がん
- 若年性上皮性早期卵巣癌(高分化型・臨床進行期
a期、明細胞腺癌を除く)悪性胚細胞腫瘍に対する子宮・片側附属器温存手術治療
主な治療のご案内
| 治療項目 | 入院/外来 | 治療に要する日数 | ご案内 |
|---|---|---|---|
| LEEP手術 | 入院 | 1泊2日 | 妊孕性温存や子宮温存を希望する方を対象に子宮頸部初期病変に対する高周波ループ型レーザーメスを用いた子宮頸部円錐切除術です。 |
| 子宮体がん手術 (リンパ節郭清あり) |
入院 | 約10日間 術前2日・術後8日前後 |
年間症例数は45~50例と千葉県内トップクラスの手術件数です。術後再発ハイリスク例に対しての補助療法として外来化学療法室と連携し抗がん剤治療を行っています。 |
| 子宮頸がん手術 (広汎子宮全摘) |
入院 | 約16日間 術前2日・術後14日前後 |
術後の排尿障害予防のために骨盤内臓神経温存手術を行っています。進行例については放射線治療部と連携し、抗がん剤同時併用放射線治療を行っています。 |
| 卵巣がん手術 (腸管合併切除あり) |
入院 | 約10日間 術前2日・術後8日前後 |
術中に迅速凍結病理組織診断を行い、適応があれば機能温存手術を行います。 |
主な治療件数
| 疾患 | 2005年 | 2006年 | 2007年 | 2008年 | 2009年 |
|---|---|---|---|---|---|
| 子宮頸がん(上皮外がんは除く) | 52件 | 44件 | 45件 | 52件 | 60件 |
| 子宮体部がん(異型内膜増殖症は除く) | 47件 | 41件 | 55件 | 35件 | 43件 |
| 卵巣がん(境界悪性腫瘍は除く) | 12件 | 22件 | 20件 | 20件 | 22件 |
| 外陰がん | 2件 | 1件 | 0件 | 1件 | 3件 |
| その他 | 13件 | 8件 | 8件 | 13件 | 14件 |
| 浸潤がん総数 | 126件 | 116件 | 128件 | 121件 | 142件 |
3)構成メンバー
部長
S59年 千葉大学医学部卒
- 日本婦人科腫瘍学会 婦人科腫瘍専門医
- 日本産婦人科学会 産婦人科専門医
- 日本臨床細胞学会 細胞診専門医
- 日本癌治療学会 暫定教育医
- 母体保護法指定医師
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
主任医長
S55年 千葉大学医学部卒
- 日本婦人科腫瘍学会 婦人科腫瘍専門医
- 日本産婦人科学会 産婦人科専門医
- 母体保護法指定医師
医長
H3年 信州大学医学部卒
- 日本産婦人科学会 産婦人科専門医
- 日本臨床細胞学会 細胞診専門医
医長
H15年 千葉大学医学部卒
- 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
- 日本臨床細胞学会 細胞診専門医
4)外来診療担当表
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