整形外科のご案内
整形外科というと、骨折や脱臼などを治療していると思われるかもしれませんが、私たちは骨や軟部組織に発生する腫瘍(できもの)を専門にしており、一般の整形外科とは全く異なる患者さんを治療しています。その中でも、特に「骨肉腫」や「ユーイング肉腫」という病気の治療に力を入れています。
簡単に言うと、骨肉腫やユーイング肉腫は骨の「がん」です。「がん」とは悪性の腫瘍(できもの)のことをいいます。悪性というのは放っておくと命に関わるという意味です。がん細胞があちこちの臓器に飛んでいって(転移といいます)そこで「がん」が大きくなって臓器を破壊するので最終的に死に至るのです。
骨の「がん」は、他の「がん」にはない特徴を2つ持っています。一つは10歳代の学童期の子どもに好発するということ(他の多くの「がん」はお年寄りに好発します)です。もう一つは極めて稀な「がん」であるということです。骨肉腫は日本全体で1年間に150人ぐらい、ユーイング肉腫は日本全体で1年間に50人ぐらいしか発生しません。
30年ぐらい前は骨肉腫やユーイング肉腫になるとまず助かりませんでした。ほとんどの患者さんが肺に転移を来して亡くなっていたのです。最近は抗がん剤治療の進歩によって、70%以上の患者さんが治るようになりました。しかし、骨肉腫を治すためには約1年間という長期間の入院治療が必要です。学童期の子どもにとって、その精神的な負担は計り知れません。また、手術によってほぼ全員が身体障害者となり、病気を克服してもこの身体障害は一生背負うことになります。
私たちは骨肉腫を治療するにあたって、インフォームド・コンセントに力を入れてきました。子どもに「がん」という死ぬ可能性もある病気であることを告知して治療を行なっています。子どもが大人と同じように病気を理解できるのかと疑問に思う人もいるかもしれません。しかし、繰り返して説明したり説明書きに平仮名を使用したりすることなどで、小学校1年生の子どもでも大人が思っている以上に病気のことを良く理解しているようです。子どもだからとごまかしたり嘘をついたりするのではなく、大人と同じように一人の人として尊重して対応することが重要だと思います。治療の必要性を理解すれば、子どもはつらい副作用のある治療でも頑張ってくれるようになります。
大人の「がん」と異なり子どもの「がん」では、「がん」になるまでの期間より「がん」が治ってからの期間の方がずっと長く、20年先30年先の人生を考えたトータルケアが重要だと思います。骨肉腫やユーイング肉腫を克服した子どもたちには、進学や就職や結婚や出産などのイベントが沢山控えています。私たちは、治療はもちろんのことトータルケアにも力を入れています。
私たちが骨肉腫やユーイング肉腫の患者さんに行なってきたトータルケアの一部を紹介します。治療中には学校の勉強が問題になります。私たちの病院内には養護学校の訪問教室があり、入院中はそこで勉強してもらっています。そうすることで、退院時には元の学校の元の学年へ復学することができます。私たち医療スタッフと学校の先生との間で頻繁にカンファレンスを行ない、子どもたちが治療と勉強を両立できるように配慮しています。
治療終了後にもケアは続きます。進学や就職の相談にのったり、時には結婚の相談など人生相談も行なっています。また、患者さん同士も仲が良く、連絡をとり合い励まし合っているようです。身体障害者スポーツにも積極的に参加しており、パラリンピックに出場した患者さんもいます。
骨肉腫やユーイング肉腫の70%以上の患者さんが治るようになったといっても、まだ30%近くの患者さんは亡くなってしまいます。患者さんが治らないということを受け入れることは非常に辛く大変なことだと思います。治らなくなった時に少しでも死を受け入れられるように、日頃からの病気についての教育が重要となります。
患者さんが亡くなる時に私たちができることは、痛みなどの苦痛をできるだけとってあげることや今まで頑張ってきたことを認めて褒めてあげることぐらいです。患者さんが亡くなるということは、家族はもちろん私たちにとっても非常に辛いことです。亡くなった患者さんに報いるためにますます挑戦を続けていかなければならないと思っています。
外来は毎日上記のように午前中に行っております。初めてかかられる方は予約センターに電話して新患予約をとって頂くほうが、効果的な診療が出来ます(受診のご案内を参照下さい)。
なお、当科の方針としてできる限り初診日に治療方針が決定できる様に努力しております。
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